(チームスポーツを撮るひとへ)バレーボール、面白いよ。

垣花実樹さん(Tw@miki666)にお誘い頂きまして、バレーボールアドベントカレンダーへ記事を載せていただきます。16日目担当の三(さん)です。

バレベントカレンダ―2のほうでは、 16日目sasnorthさんの 「Vリーグのサイトについて思うこと(他競技もよく観る者として)」のおはなしが更新されます。

adventar.org

ここでは、バレーボールの試合会場で色々いらっしゃるファンの応援スタイルの中で、写真を撮る観戦をメインとしているV1男子ファンの話しをします。
戦術やコンセプトの話をみるのは好きだけどそれを話せるほど詳しくはなく、選手個人をめちゃくちゃ語れるほどでもなく、写真を撮るといっても技術論や機材の知識があるわけでもなく、絵を描くのが好きだけどどこかに出すほどでもなく、ある程度遠征するくらいには応援しているチームや選手はあるけど試合観るのはどこでも楽しいので好き。みたいなテンションのファンです。
ここで書く文章も、なんというか、どこをどう撮るのがいい!みたいな話じゃなくて、写真いっぱいのファンレターみたいなものだと思って読んでもらえると嬉しいです。

写真あんまり上手じゃないのですが、よかったら見ていってみてください。

※なお7000文字超程度あります。長すぎないか?

 

  

 

  

スポーツ写真を撮ることを趣味にしている。

特にチームスポーツが好きで、中でもバレーボールを特によく撮りに行く。

バレーボールを撮る時、なんでこんなに面白いんだろうと思う。試合でなくても、普段の公開されている練習風景を観てすら、なんでこんなに面白いんだろうと思ってシャッターを切る。

なにかが自分の中でガッチリとハマってしまっている。シャッターを切って出来た写真が、やたらと気に入ったふうに仕上がる。もちろん失敗した写真も数えきれないほどあるけど。

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井上慎一朗選手(JTサンダーズ広島)


こんなことになるまで。

始まりは尾上健司選手。テレビで国際大会が中継されていて、日本代表チームのミドルブロッカーの一人として選出されていた。初めは大人しそうな人だなと思って、その実大人しめの、でも堅実なプレーをする選手だった(と思う)。広島にある実業団のチームの選手だと知って、広島に男子バレーボールのチームがあるのを知った。

Vリーグを初めて観にいったのは千葉進也選手観たさ。身長184cmと男子バレーのウィングスパイカーの選手としては低めの体格だったけれども、日本代表の試合のテレビ中継で世界を相手に飄々とスパイクを決めて、ゆったりと歩きながら表情を崩さずテーピングだらけの人差し指を掲げるのがめちゃくちゃ格好良かった。紹介VTRで「仕事人」と称されていた。この選手のプレーを生で観たいと思った。(今シーズン、まさかのウン年ぶりにリーグの現場に堺ブレイザーズの部長として戻ってこられた。一緒に写真を撮っていただいて、ファンですと伝えらえた。泣いた。そんなことってある…)

10年ぶりくらいにリーグに再び足を運ぶことにしたのは越川優選手がインドアバレーを引退するからである。五輪を目指してビーチへ転向すると言う越川選手のサーブはバチバチにキレがあって、もっとインドアで観たかったなと思った。

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越川優選手(JTサンダーズ:16-17シーズン)

こんなにリーグに足を運ぶようになったのは井上航選手のプレーを観たから。リベロと言う攻撃に参加しないポジションで、こんなに面白いプレーをするのかとびっくりした。試合は負けたけど、その場ですぐに翌日の指定席のチケットを買いに行った。

思えば、前年の越川選手の時に感じた(もっと観たかった)と言う気持ちが、意識の中に染み付いていたのかもしれない。慌ててとったチケットで観た翌日の試合で、JTサンダーズは勝ちを収めた。勝利の輪の中で喜んで小野寺選手の背中に登る井上航選手の写真を撮って、後で大学の先輩後輩だと知る。 

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井上航選手・小野寺太志選手(JTサンダーズ)

思えばなんにも知らなかったなあ…。
 

人間って空を飛べる。

バレーボールのコートの真ん中にあるネットの高さは一般男子で243cmある。これが大体一般家庭の天井の高さと同じくらい(といわれている)。その向こうへボールを叩き込むために、選手は思いっきりジャンプして、手を伸ばして。その姿があまりにも格好良くて。高く飛ぶための助走の際に後ろに振る腕を、有名なバレー漫画であるハイキュー!!では「人工の翼」と称したりしているんだけど、(個人的には人工のというより、人力の、という方がしっくりくる気がする。)その動作がもう一つ一つ美しくってカッコいい、絵になる。

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西田有志選手(ジェイテクトSTINGS)

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山本将平選手(JTサンダーズ広島)

美しい動作の先にあるのは、鋭くエグい速さと威力のボール。もしくは、あっと声が出るようなコートのエアポケットにフワッと落とすボール。そしてそこに食らいつかんとする相手チームの選手。 

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中根聡太選手(ジェイテクトSTINGS)

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井上航選手(JTサンダーズ広島)

ボールを繋いで、繋いで、その先のチームメイトに託す。

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山本憲吾選手(VC長野トライデンツ)

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ジェイソン=デロッコ選手(FC東京:18-19シーズン)

相手コートにボールを「落とす」、または自分のコートに「落とさない」ために、9×9mの自陣の中で6人の選手達が統率されたポジショニングと動きで走り回る。その様がチームという生き物みたいで面白い。

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古賀幸一郎選手(ウルフドッグス名古屋)

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龍神NIPPON

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鈴木寛史選手(サントリーサンバーズ:18-19シーズン)

スーパープレーを観たり、時にはどうして!って言いたくなっちゃうようなミスがあったり、それらが25×3セットの中にいくつもあって、そういったスゴいプレーや思わぬプレーのその前や後ろの方にそのプレーに紐づくプレーがあったり、というのを後から気付いたりもする。試合を何度も見返して、そのたび面白いところに気づくのがたのしい。

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左手一本で!(小野寺太志選手/龍神NIPPON(JTサンダーズ広島))

コミュニケーション・スポーツと写真

バレーボールというのは最低でも25点を3回とったほうが勝ち、というゲームなので、1セットにつきどちらかが25回点を取る訳だけど、その度に選手達が非常に喜ぶ競技。そして、そこに「勝ち」があればネットを挟んだすぐそばに「負け」があるのも、たまらない気持ちになる。

コートがそこまで広くなく、選手同士が近いこともあり、バレーボール選手は非常によくコミュニケーションをとる。得点して大喜びするのはもちろん、ポジションのこと、狙い、相手ブロックの枚数、コース、よくやった、今のは自分のミス、切り替えて……。 

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山本将平選手(JTサンダーズ広島)

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橘裕也選手・野瀬翔平選手(FC東京)

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ジョルジェフ=ニコラ選手・松本慶彦選手・竹元裕太郎選手(堺ブレイザーズ・18-19シーズン)

 個人的にこういうところがチームスポーツの醍醐味だなと思いながら観たり写真を撮ったりしている。そしてやっぱり選手が感情を爆発させているところって、観る側に波及するよね。
ワンブロで出てきて相手OPを止めたり。非常に長いラリーを制したり。SAを決めたり。デュースが続く中で遂にブレイクしたり。吹っ飛ばされてなんとか繋いだ二段トスを決め切ってくれたり。
そしてそういう時って、点を決めた本人よりもたいてい、周りの選手の方がめちゃくちゃに喜んでいたりする。

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竹元裕太郎選手(堺ブレイザーズ)

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伏見大和選手(東レアローズ:18-19シーズン当時)

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井手智選手(東レアローズ)

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富松崇彰選手(東レアローズ)

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浅野博亮選手・西田有志選手(ジェイテクトSTINGS)

会場で試合をみて、撮った写真を見返して思い出して、2度美味しい観戦体験。

写真というのは、徹頭徹尾自分の視界でしかないので、機材、座る席、カメラを向ける先、画角、シャッターを切るタイミング、数々撮った写真の選別、現像、そして投稿すとその見せ方…とそのすべてに自分の選択が関わってくる。

例え真隣で同じように同じ試合を撮っていても、出来あがってくる写真はぜんぜんちがうのは、その根本「見たかった景色」がちがうから。かなあ。
ものすごく余談なんだけど、個人的に、良い写真を撮るには「愛」が必要とか、「愛がある写真」という表現がものすごく自分の中でしっくりこないことがあって

でも幡野さんの言葉を読んで、「撮りたい」で良いんだ、と思ったので腑に落ちた感じがあった。対象に愛がなくてもいいし、いいと思う写真すべてに愛がこもってるとは思わないけど、 「撮りたい」って動機の有無と、それからどれくらいそれを「知っているか」は写真を左右するとは思った。

 

それに、その瞬間はそこにしか存在しないので。
この今のチームは、選手は、監督コーチスタッフは、きっと今しか観られない。どんな順位でも、勝ち試合でも負け試合でも、このシーズンを戦う選手は来シーズンも居るとは限らない貴重な時間だと思っている。
それを断片でも自分の視界で残しておけるのも、写真の醍醐味かなあ。
そういうのも含めて、わたしは写真を後々の自分のために撮っている節があるかもしれない。
撮っといて良かったと、今も思う。

 

写真を撮る理由

私はそういうものを残したいから、というのと、知って欲しいから写真を撮っているんじゃないかなと思う。

写真を撮りはじめた時に色々と教えてくれたひとが言っていた「人に見せない写真は撮ってないのと同じ」という言葉が根っこになっているんだけど。(という話を書いていたらこないだチコちゃん@NHKが古い逸話を前に「誰かが目撃して語り継がないと残らないものね」なんて言っていたので、まさにそれだと思った。(普段見ない番組でたまたまこういう出会いがあるとなんか好きになっちゃうな。))
目の前で躍動する素晴らしいプレーや選手やチームや競技のことを、残しておきたいし、もっと沢山の目に触れて、残っていって欲しいなと思う。

 

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西田有志選手(ジェイテクトSTINGS:龍神NIPPON)

バレーボール、面白いよ。

 

写真では伝えきれないこと。

ここまで散々写真とそれで伝えたいことを話して来ておいてこんなこと言うのもなんなんですけども。写真では伝えきれないことってどうしてもある。
主に振動
音ってのも色々あるんですけど、まず選手同士のコミュニケーションが実際に聴こえること。特にリベロの指示の声。それからチームのムードメーカー的な選手の、チームが落ち込みそうな時に飛ぶ鼓舞。ベンチのコーチスタッフから選手に飛ぶ声。リザーブに居る選手からの檄。
それに会場のファンの声。応援団のそれぞれのスタイルの応援や音楽。それ以外の席からも選手やチームに掛けられる応援。プレーに対する拍手、悲鳴や感嘆。
プレーする選手から聴こえる音も色々楽しくて(?)、パワーサーブを打つ時の音。ブロックが決まった時のバチンという肌にボールが弾かれた音。ボールを追いかけてパネルに突っ込んでいってはっ倒す音。
あとアリーナに入ると感じられるんですけど、サーブ打った時の人が着地する振動が床伝いに感じられるの、わりと未だに感動する。
現地で観る醍醐味だなと思う。

 

そういえば記事書きながら現地での応援や選手の個人幕って実際どのくらい本人たちの意識に届いているもんなんだろう、と思っていたところ

https://tw

皆さんの応援は、漏れなく選手まで届いています。

しかも、どんな形であれ、大小関係なく、しっかり選手には届いているんです。
金額の大きさでもなく、
時間の長さでもなく、
目立つことをしていなくっても、
現地まで行けなくっても、

あなたの応援は届いています。

note.comitter.com/2

 

tomman/status/1200072793167024128?s=20

アドベントカレンダ―2の13日目に更新された、岡山シーガルズの応援団長たいさん

(Tw@kusattem)の記事より、力強い言葉が添えられていた。

(勝手に引用したので、問題あれば言ってやってください)

 

余談:写真を撮っていてもらえる“棚ぼた”

棚ボタ①
写真を撮っていると、たまに撮った覚えのないものが映っていたりする。自分の焦点と写真の焦点が違っているというか、たまたま狙ったもののそばで気付いていなかった出来ごとがあって、写真を見返した時に初めてそれに気付くという現象。(棚ボタ写真とでも呼ぼうかな。ダサいな。)

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唐川大志選手・井上航選手(JTサンダーズ広島)

今シーズン、試合中にスタメンリベロだった唐川選手にアクシデントがあって、急遽交代して井上航選手がコートに立った。その後のTO中に、唐川選手がチームのメンバーを鼓舞しているところに井上航選手が向かっていって、両肩を掴んで真正面からそれに応えていた。色々と思うところもあり、私もうこのシーンだけ写真を撮ってあとは暫く呆然としていたのだけど、

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安永拓弥選手(JTサンダーズ広島)

後で写真を見返したら、そんな二人のうしろに居る安永選手がそのやりとりを眺めながら、実に優しい顔で笑っているのに気付いた。撮っているときはそこにまで意識が行っていない、完全に偶然映っていた表情だったけれど、この写真をみて安永選手のこと更に堪らなく好きになってしまった。なんだかよくわからないけどありがとうございます…という気持ちにすらなった。何に対する感謝なんだろう。でもチームメイトの事こんな顔してみる選手が居ると知れたことがめちゃくちゃうれしい。
あとこういうの見つけたとき、あんまりボケない機材使ってて良かったなとつくづく思う。普段はマイナスな要素が転じてラッキーになる瞬間。

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安永拓弥選手(JTサンダーズ広島)

安永選手の速攻はみんなと少しだけリズムが違って(るように見え)て格好いいんだ…。

 

 

棚ボタ②

写真をアップしていると、選手からたまに反応を貰えたりする。写真を撮るということはこちら側がかなり勝手にやっていることで、もしかしたら嫌に思っている選手もいるかもしれないなと思う事もあり、アップするものに対して一応気を遣ったりもしているんだけど。やっぱり本人がその写真を気に入ってくれる事がいちばんうれしいよね。

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喜入祥充選手・大宅真樹選手・秦耕介選手・小野遥輝選手(サントリーサンバーズ)

去年撮ったサントリーの同期4人組。たまたま自分の座席からリザーブが抜けていて、 たまたまそこに4人とも揃っていたというシチュエーションで試合が決した。肩を組んで試合を見守っていた4人が駆け出したときの写真を、喜入選手が見かけて気に入ってくれたらしく、ご自身のSNSで使ってくれていた。あ、有難い…。
正直撮った時は応援しているチーム以外にあんまりにも詳しくなく、完全に偶然撮っていたものなのでこれ以上ないくらいの棚ボタ感がある。撮ったものの意味に後から気付いたり知ることってあるなあ…。

 

おしまいに

競技に対するファンレターみたいなものを書きたいなと思っていたんだけど、長々と結局とりとめなく書いてきてしまって、半分くらいは写真で埋まっているしこれでいいのか書き終えても不安しかなく…。正直参加すると決めた時にテーマだけ決めてしまって、でもどういう感じで書いたらいいのかがそこから定まらず、結局この記事のボリュームを3記事くらい書き直した。アホでは?
でも改めて、こんな風に競技のここが好きで、この選手のここが良くて、みたいなのをちゃんと向きあってみると書いてる本人がいちばん楽しかったりした。ちょっとしたカタルシスある。
このようなきっかけをつくってくださった垣花さんが普段からよく仰っている「(バレーファン)もっと語ろうぜ」をちょっとでも体現出来てたらうれしいなと思う。本当に誘って頂いて有難うございました。楽しかったです!
そして何よりこんな長い記事を読んで頂いて有難うございます。ここまで読んで頂いたってことはかなりバレーお好きですね…?
V1男子の話ばかりだったけど、来シーズンくらいから他カテゴリも観に行けたらいいなあ。今のところ大同特殊鋼レッドスター観に行きたいのと、日立リヴァーレ岡山シーガルズ観てみたいなと思ってるんですけど、他にもどこかお勧めのチームやカテゴリあったら教えてやってください。特にリベロがおもしろいチームが好きです。何卒。

peing.net

明日17日はでぐちぎりさんの「琴線とセッター」のおはなし

adventar.org2の方はきとらさんの「こんなんだったらいいな!と思うHGのあれこれ」のおはなし

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楽しみにしてます!

 

 

三(san)

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写真は全部自分が撮ったものです。写真は主にインスタに。1枚で載せにくいなってやつや雑談はTwiに(普段は鍵が掛かっています。)